Through the Gates of Pearl
私的なスピリチュアル探求の記録
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バイロン卿とTさんの話~男性にとっての性的トラウマ体験の深刻さ

このブログの更新がずいぶん滞ってしまいましたが、そうこうしているうちに占星術の講座(リリス講座)を2020年中にリリースできる運びとなりました。

>>>リリス講座

この講座の準備に当たって、占星術におけるリリスが著名人の出生図においてどういう出方をしているかをチェックしていますが、その中でもイギリス・ロマン派の詩人であるバイロン卿のチャートはリリスがとても強く効いているチャートなのですが、このバイロン卿のチャートを見ていて、ある人のことを思い出しました。

それが、大学時代の彼氏の友達だった2歳年上のTさんという男性のことです。

Tさんは理系の学部生でありながら、ユリイカの常連になるくらいの詩才があって、文学的な素養も深く、非常に読書家。しかも、吉岡秀隆似のルックスなので、女子がほおっておかない。そういうわけで、常に彼に入れあげている女性が複数人いましたね・・・。

それでいて、Tさん本人は女性には基本的に全く興味がなく、むしろ冷淡でニヒルな感じで、「僕と関わっても無駄ですよ」的なことを吐き捨てるように言うんですよ(そしてそういう傷ついたような冷たさがまた、女性をさらに惹きつける要因でもあった・・・)。

で。

あるとき私は気づいたのですが、ユリイカの常連になっていた彼の詩を丁寧に読んでいくと、そこにはいつも、たった一人の年上の女性に対する複雑な、アンビバレンツな思いが綴られているんです。

Tさんの詩のテーマはいつも、その女性に対する母親的な愛情を求める気持ちと、怒りと絶望に満ちた呪詛の間で揺れ動いている感じでした。

彼が女性に対して見せる冷淡さとか傷ついたような様子というのは、この女性との関係性にあるんじゃないか?というのが透けて見えるように思いました。

やがて・・・

あれは2001年の冬でした。私はドイツに短期留学をしていて、どんどん暗くなるドイツの冬を迎えていました。

その日、いつものようにパソコンを開いてスカイプを立ち上げると、日本にいた当時の彼氏が突然チャットで、

「お願い、今からTさんと話をしてあげて。gabrielaさんじゃないと多分相談できないことだから。」

と。

その後、スカイプのチャットを使って、Tさんと話をすることになったのですが・・・

そのTさんから聞いてほしいと言われた話は、

・今好きな女性がいるのだけど、過去の性的トラウマの記憶がフラッシュバックする。
・その過去のトラウマというのは、彼が小学生のころ担任の女性教師からソフトレイプされたこと。
・好きな女性が生まれて初めてできたのでどう接していいか分からない。
・それにどういうわけか、その好きな女性のことを考えると何をしているか分かってしまう(見えてしまう)。

という告白でした。

Tさんは小学生の時のソフトレイプ体験が傷となって全然誰かを好きになることはなかったらしいのですが、ここにきて、本当に好きだと思える女性に出会ったそうでした。その女性は、Tさんが当時教育実習をしている学校の先生で、年齢的には2~3歳年上ということでした。

話を総合すると、今回好きになった人はとても向日性の強い素敵で明るい女性という感じです。教育への情熱が強く、生徒からも好かれている人だそうでした。

しかし、その女性を好きになると、どうしても自分が過去に受けた女性の先生からのソフトレイプの記憶(身体を触られたこと)がよみがえってくるのだそうです。

なぜかというと、その教育に熱心な女性が、過去の担任の女性教師と重なってしまうからと・・・。

Tさん曰く、

「とても大好きなで尊敬している女の先生だった。多分初恋だった。だけどあの日教室でされたことがずっとトラウマになっている」

と・・・。

そしてもう1つ不思議なこととして、今回新しく好きになった女性のことを考えると、なぜか何をしているか、どこにいるのかが分かってしまうということでした。いわば「見える」人になってしまったのです。

Tさんは理系に進学するくらいなので基本的にフワフワしたスピリチュアルなこととかには基本懐疑的な人。だからこそ、自分の身の上に次々に起きているこの変化に耐えきれなくなったみたいです。

※ちなみに、後年、トラウマやPTSD、性暴力をテーマにしている精神科医のN先生と出会って話をしたときに教えてもらったのですが、N先生もご自身の性被害体験の後で幽体離脱したりすることが続いたり、被害者・患者さんの話を聞く中で急に過去生が見えてしまったりすることが続いたそうです。性的なトラウマは、ある種の感覚を開いてしまうのかもしれません。なお、こういう体験があったため、N先生はいわゆる西洋医学の範疇に収まらないヒーリングも学び、クリニックに併設されているヒーリングセンターを作っています。
※※N先生についてはこちらのブログに書いています。

で、Tさんは耐えきれなくなって、SOSを私の当時の彼氏に発したそうです。そして元カレはそのTさんを私につなぐという・・・(笑)(まあ、信頼してもらっていたからこそと思うので、いやではないですが、その当時20歳そこそこの私がなぜこのヘビーな相談の対応要員として駆り出されたのか・・・謎です)

とはいえTさんの告白は、正直私自身キャパシティを一気にぶっ飛ばすような話の連続だったので、ただただ黙って聞くことしかできませんでした。

ただ・・・この話を聞きながら、男性にとっての性的トラウマって、ある意味では女性よりも深刻で根深いのかもしれないと感じたのです。

Tさんは自分が新しく好きになった女性のことを思うと、衝動が抑えられなくなり、つい迷惑と思われるようなことをしそうになると言っていました。距離感をどう取っていいのか分からないと。そんな自分がおぞましいとも言っていましたね。

・・・性的なトラウマを体験した場合、男女でその後の行動に差があると言われています。女性は内在化し被害者的な役割を演じやすいのに対して、男性は逆に外在化し加害者になることが多いとも言われます。

で。

話をバイロン卿に戻しますが、バイロン卿の生い立ちというは、女性(養育者的な女性)との間の痛ましい記憶に満ちています。

生母は精神疾患がありバイロン卿をネグレクト。代わりに育ての親となったナニー(乳母)は、バイロン卿を小さいころから性的虐待していたと言われています。長じてからのバイロン卿は、数々の浮名を流しつつ、自分の異母姉との近親相姦的関係を続けていきます。彼との恋に傷ついて自殺した女性もいましたね・・・。

このバイロン卿が、Tさんと重なって仕方ないのです。Tさんはバイロン卿とは違って女性をもてあそんだり暴力を女性に向ける側にはならなかったですが、女性の養育者との間の悲しい関係性は重なるものがあります。

別の記事で書こうと思いますが、男の子にとって母親や養育者的女性との関係性の中で性的な境界線を侵されるようなこと、性的なトラウマになることがあった場合、それは本人が傷を負うだけではなく、犯罪というような形で外在化をしていくケースが結構あるということです。(ちなみにここでいう性的なトラウマというのは、直接の被害者ではなくても、たとえば母親がDVされているのを見るとかそういうことも含まれます。)

・・・寒い寒いドイツの冬の夜に聞いたTさんからの衝撃的な告白は、その後私がこのブログで書いているようなテーマを扱う上で非常に重要なことになっています。

どうしてもこういうテーマ(性的なトラウマ)は女性が傷ついたという話がほとんどなのですが、では性的なトラウマを与える側になっている男性というのが全く傷ついていないかと言ったら、そんなことはなく、むしろそこにはより一層根深い傷が眠っていることがあり得るのです。

ABOUT ME
gabriela
1981年生まれ。一児の母(男の子ママ)。ごく個人的なスピリチュアル探求の記録を綴っています。